静かな夜の魔法　　

人は　なんだこんなものかと
通り過ぎるかも知れず。
僕は笹の雪流な味を　愛す。

　　　　明治３９年４月４日　夏目金之助　（漱石全集より・・）





叔父の　欧羅巴へ赴かるるに
笹の雪を贈り
春惜しむ宿や日本の豆富汁
　　　　
　　　　正岡子規　　明治35年









この２つの言葉は　有名な　夏目漱石・正岡子規がかかれたもの。
しかも　これは　東京・根岸にある　豆富料理の老舗について。

結婚前まで　根岸にある歯科で勤務していたStacieですが
若かったせいか、有名とは知りつつ、
近くにいながら１度も訪れていませんでした。

最近は　ヘルシー嗜好（笑）・・・
いえ・・それだけ大人になったというもの。
ずっ〜と気になっていたので　出かけてまいりました。

入り口の戸を開くと…
雰囲気はタイムスリップした感じ。大きな玄関に半被をきた年配の下足番さん
優しそうなお店の方々の話される言葉に耳を傾ける。
なぜか懐かしさや暖かさが最初から湧いてくるのです。
コースなら個室、私はセットなので和風庭園の見えるお部屋へ案内されました。







このお店では　豆腐を　豆富と書いて
とうふと読みます。
これは　料理屋に　腐る　と言う字はふさわしくないということから
８０年ほど前の店主が　富という字を　用いるようになったということです。





老舗というだけあり、その歴史もかなりすごい！

笹の雪初代玉屋忠兵衛が絹ごし豆富を発明。
元禄４年（約３１５年前）　上野の宮様（１１１代後西天皇の親王）のお供をして
京より江戸に移り、江戸で始めて絹ごし豆富を作り根岸に豆富茶屋を開いたのが
お店の始まりなのだそうです。

宮様がとてもお気に召され
笹の上に積もりし雪のごとき美しさよと
賞され　笹の雪と名づけられたとか。





現在も　当時の製法そのままに　井戸水とにがりを使用した
昔ながらのお豆富がいただけるのです。

今回いただいたのは　コース料理　「朝 顔 セ ッ ト」
小付　中桶　あんかけ豆富　胡麻豆富　雲水　うづみ豆富　デザート 　

すべてお豆富です。






絹ごし豆富　　雲丹とホタテの枝豆寄せ　　高野豆富とくるみ豆富とおたふく豆
…大豆本来の甘味や旨味がこんなに凝縮されているなんて感動的でした。ウニとホタテを寄せたものは、本当に少しだけでしたので、もっと下さい！と言いたくなる美味しさでした。きっとお酒を頂く方なら小さな欠片を肴にお酒も進むのでしょうね。
高野豆富、あのダシのしみぐあいがなんともいえません。






雲水　


・・・湯葉の中には　えび　銀杏　鶏肉　白身魚　小松菜　しいたけ　シメジ
こんなに贅沢な一品ってあるのですね。ゆばを開く瞬間にワクワクします。





ごま豆富
ツルンとして、もちもち丁寧にすられたゴマの風味がなんともいえません。






あんかけ豆富
…このあんかけ豆富、必ず小鉢二つで運ばれます。上野の宮様がご来店されたときに、大変美味しいと仰せになり、これからは2椀ずつ持ってくるよう言われたことが慣わしになったそうです。






豆富のお茶漬け
…お豆富がお茶漬けですよ♪ありえないと思いませんか？それがあり得る!しかも美味しい♪
お新香とお茶漬け…最高でした。





お豆富のアイスクリーム　（ゆずシロップかけ）…お豆富の優しい味に爽やかなシロップ。
お口直しと言うまでもなく、また来たいと満腹なのに思ってしまいます(笑)





いかがですか？

見た目はちょっと地味？
でもお豆富って意外にお腹がいっぱいになりました。

身体の中から綺麗になる気がしました。

どれをいただいても美味しいのですが、
お豆富のお茶漬けって・・・珍しいですよね＾＾
お勧めです♪





根岸といえば、上野方面。

これからですと　あさがお市　ほおずき市などがありますし
夏には不忍池の蓮の花も綺麗です。
博物館や美術館、動物園もあり、いい散策コースです。

上野方面へお出かけの時には　是非老舗のお豆富料理を
ご賞味ください＾＾




笹の雪HP↓